敗北を恐れぬ監督達ー結果至上主義からの脱却ー 杉山茂樹著

UAEとタイとの戦いを白星で終えた日本代表。この時期になるとヒーローは現れますね。今回大活躍だったのはベルギーのヘントというクラブですでにゴールを量産している久保選手、そしてUAE戦で故障したものの素晴らしいパフォーマンスを見せたのは今野選手でした。香川選手もタイ戦ではゴールを決める等、クラブでのプレー同様に好調ぶりが目に見えた形となりました。

そして叩かれているのは本田選手。これまではゴールで結果を出していましたが、今では出ているのが謎ということです。入った途端に流れが悪くなっている等の批判がでていますが結局誰かが叩かれるようでこれはWBCでも見られた光景でした。ただ本田選手に関してはパフォーマンス的にも「良い」とは言えないしSVホルンのクラブ経営等、横道にそれているような行動が目立ってしまっているのでそれが批判を増幅させているのでしょう。実際の所プレーヤ―ではミランでは干されているのに冬にミランから出なかったという事も周りを仰天させたのかもしれません。そしてハリルホジッチ監督も「出れるクラブに移籍しないと代表から外す」と言っておいて結局呼んだということも視聴者を困惑させたのでしょう。正直言って本田選手は凄い選手だと思います。だからこそ退くときに汚点を残してほしくない。このままではW杯本選出場した時、試合に出場することなく敗退したとしても
「本田の代わりに誰か入れていたらこういう事にはなっていなかった」
という憶測論で無理やり批判されかねない。その後に代表引退しても「だったらW杯前に辞めておけ」等と言われるのが目に見えて浮かぶ。今SVホルンやクラブ経営でやっていることは新しい事ばかりで将来日本サッカーに大きな遺産を残すかもしれない。だったらそっちに専念してほしい。これで外して日本が仮に代表が今後の試合で結果が出なかったとしても別に本田のせいにされることはない。もう代表からは引退してでも専念してほしい。

そして本田を外さなかったハリルホジッチ監督もですが、これまで岡田、トルシエ、ジーコ、オシム、そしてザッケローニと系譜を辿ってきた日本代表の監督ですが各々がどんな監督なのだろうかとことについて目を向けてみることにしました。その中で読んでみた本がこちらです。

確かに監督達と書かれていますがだいたいグアルディオラとモウリーニョばっかりでした。あとチョロッと特集された監督たちも頭数に入ってますがだいたい「レアル」と「バルサ」に終始し、そのチョイ役程度に書かれた監督達の内容はまともに入ってきませんでした。

ただファン・マヌエル・リージョという監督はすごく気持ちが分かる。プレーヤーとして才能無いから!とキッパリ道を絶たれて、でもコーチの腕を見込まれて1クラブの監督に15歳から任命されるというトンデモ経歴の持ち主でした。ジャイキリで出て来る佐倉監督はある程度現実的なものだったのです。ただ日本では起こり得ないですしプロとして結果出てない人の言う事をプロの選手が聞くわけないということでしたがそれを知識や積み上げていった実績で納得させていったというエピソードもある人です。でもプレーヤーがしたかったと今でも泣くくらいこだわっていてその悔しさが原動力なのだとか。その未練はすごくわかるな・・・。

で、何度もこの1冊で何度も言われていたのが「サッカーは勝ち負けだけじゃなくて内容も大事」、「日本は結果だけを見て内容が悪くても勝てば文句を言わない」、「勝ち負けだけを意識した結果監督の哲学が無くなってきている」、「マスコミのせいでビジネスが優先されて純粋にサッカーと向き合ってない」という事だったのですが勝ちだけにこだわった監督のクラブ側のメリットとデメリットを平等に上げていて批判はしていなかったのです。

しかし、近場のアビスパ福岡というチームを見ていると勝ち続けること以外ないのですよ。

内容は良かったというのが逆にプロ意識に欠けるというとらえ方をされても仕方ない。近場に強豪野球チーム、ちょっと離れたところに長年J1でやってるチームがいる中でのうのうと内容を突き詰めていけるほどもう余裕なんかなくて2013年にクラブそのものがつぶれかけた時なんか最悪。資金ショートまでして味の明太子ふくやとそれに乗っかってくれた他のチームのサポーターのおかげでやっと首の皮をつないでJ1に行った。また1年で落ちたけど資金的なバックアップも整ってやっとしっかりとした体制が整っているんです。

こうしてみると敗北を恐れぬ監督達とありますが意味合いが変わってきます。

そもそもサッカーがスポーツの基盤であるヨーロッパと日本を比較しようとしている所ハナから話が違います。逆に言えば向こうでは日本でいう野球がサッカーでしょう。野球の話題は放送されるかどうか怪しい。多分されない。そしてその基盤の上でされる話のほとんどがバルサやR.マドリードでしたがプレッシャー云々で敗北を恐れないというより世界一、二位のクラブを引き合いに出して日本は哲学があるか無いかという点を出されるのは正直言って多分ない。清水で監督をされていたゴトビ監督は結果を残していた例をしていましたが最終的な順位は8位でした。監督変更後に清水が降格したのを考えると確かにゴトビ監督は名将ですがその年優勝したクラブの言い分は取材すらしない。そしてFc東京のポポヴィッチ監督も挙げられていましたが川崎戦で負け試合でも内容は良かったと言ってのけたところによくぞ言ったという・・・。

日本という土壌で見られるフットボールの視点とヨーロッパの視点ではハナから違うでしょ・・・自分の中で好きなのはアビスパ福岡ですが凄いと思うのはサンフレッチェ広島です。そこに取材に行ってない時点でもうこの人何見てんだって話。そしてサンフレッチェ広島は短期間で3回優勝して広島市民球場跡地にスタジアム作ってくれる条件を果たしたのにそれでも県知事は約束を反故、嫌なら出て行ってくれても構わないと言わんばかりの態度をとった。それが日本という国なんです。広島と言ったらカープ、幼稚園でもカープは素晴らしいと言わんばかりに教えている県です。サッカー第一じゃないんです。勝っても相応の評価はされないんです。歴史が無いんです。広島が3回優勝したのに客足が増えるわけでもなくカープは久しぶりに1回優勝して大騒ぎです。そんな中では勝たなきゃ落ちてしまうんですよ、 人気も客足も何もかも。

むしろこれが日本サッカーの哲学になっていくと思います。勝つためだけに特化した哲学。野球というスポーツに苛まれながらそれでも勝っていくしかなく必死に策をめぐらす。そうやってその国のサッカーの土壌が出来上がっていくんじゃないんですか?積み重ねじゃないんですか?何でもかんでもヨーロッパみたくしてればバルサみたいにしてればいいってもんじゃないんですよ。一朝一夕でその国の伝統が積まれていくと思ったら大間違いですね。ヨーロッパもどっこもそうでしょ。日本をヨーロッパみたいにしようとしたいならもう辞めた方がいい。無理。その代りその環境で育っていくものが必ずあるはずです。それを見て行きたいですね。

ヨーロッパや南米を見るのも大事だがこの環境で育っていくこともある。メリットデメリットはその時決めればいい。何でもかんでもほかの国の真似ばっかりやってりゃいいなんて思ったら大間違いだ。

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